ブログ小説【発見 砂の穴第8話 砂の穴】

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砂の穴 第8話あらすじ

里子はお染が源太郎の墓に閉じ込められて思って墓を掘りはじめた。
そこへ秋子がユンボを運転して現れた。
里子はお染の泣き声を再び聞いたとき、墓の穴をのぞき込んだ。

 

砂の穴

 

残照

 

注意深く、周囲を見渡した。晩秋とは思えない強い日差しが墓地全体を照らしている。少し離れた所に桜の木陰があるだけで、近くに日陰になるような物は何もなかった。
源太郎の墓前には、さっき活けたばかりの生花が濃い色彩をつくっている。

「お染ちゃん?……」
娘は墓前に引き返してきて立ち止まり、耳を澄ませた。
「ニャアー」

 

墓石の影か、納骨室の中に迷い込んでいるのだろうと思い、娘は心当たりの場所をくまなく探した。何も動く気配はない。
「閉じこめられているの?」
と言って耳を澄ます。
「ニャアー」

 

 

どうやら墓石の下から聞こえて来る。娘には子猫の泣き声が段々と強く、助けを求めているように思えた。
「どうしてそんな所に居るの」
「ニャアー」
猫の泣き声を聞く度に、娘は胸苦しさを覚えた。
「今夜、必ず助けて上げる」
そんな娘の動きの一部終始を、秋子はさっきから栴檀の木陰でずっと見ていた。

娘が夕方、再び墓地にやって来た時には、まだ西の空にかすかな残照があった。赤い乗用車を入り口の駐車場に止め、スコップと懐中電灯を持って源太郎の墓石まで真っ直ぐ歩いて行った。
「お染ちゃん」

 

「ニャアー」
今にも途切れそうな弱々しい、せっぱ詰まった泣き声が返ってきた。
娘は早速、墓石の後ろ側に回ってスコップを入れた。

 

スコップに右足を乗せて踏み込むと砂は想像していたよりも柔らかく、サクッと心地よい切れ味が返ってきた。娘はスコップの砂を跳ね上げながら、お染が何故、地下にいるのだろうかと考えていた。

作業を始めて間もなく娘は、エンジン音が近づいてくるのに気づいた。顔を上げると、目の前に小型のユンボが止まろうとする所だった。
「‥‥」

 

娘は、ユンボを操縦しているのが秋子だと知って驚いた。
「手伝うわ」
秋子の笑った顔だが、どこか冷たさがある。

「あのう‥‥」
娘は、今自分が何をしているのか、秋子は知っているのだろうかと思った。
「お染ちゃんを救出しようとしているのよね」
娘は頷いた。

 

「スコップじゃ無理。さあ、退いてちょうだい」

すでにユンボは娘が掘り始めていた穴の前に来ていた。
「ご存じだったんですか」
「いいや。あなたが今日、おじいちゃんに線香を上げに来てくれた時、はじめて知った」
アームの先端が、娘の開けた砂の穴に吸い込まれて行った。

 

「私、おじいちゃんのお通夜に、お染を抱いてきて、家の前の道路で下ろしました。道路を横切って、玄関に向かったのを見たのが最後なんです。お線香を上げに行く度に、お染ちゃんに会えるのを楽しみにしていたのですが……」

娘は秋子の作業の手際よさに見とれた。二年ほど前まで、工務店の事務員として働き、時々現場に出て、ユンボの操縦や、ダンプカーの運転をこなしていたと、話していたのを思い出した。

 

 

「私たち、いくら頑張っても子供の出来ない夫婦。家にいるより、働く方がいいもんね」
その時の秋子の笑いは、どこか寂しげだった。

「あなた、向こうにある、足場板を一枚運んで来て」
「はい」

 

娘は言われるままに、日中、工事をしていた場所から、一枚の足場板を引きずってきた。
「あなたが今日、線香を上げに来てくれた時、お染ちゃんはと尋ねたでしょう。家にいないのが分かれば、必ずここへ来ると思ったのよ」
秋子は戻ってきた娘に、目を向けた。
「でも‥‥」

通夜の夜更けから見かけなくなったお染の行方を、秋子は知っているのではないのだろうかと娘は思った。
「泣き声を聞くまでは、私も信じなかったわよ。お棺の中に閉じこめられているなんて」
エンジンの音に負けまいとして、秋子の声は自然と大きくなっていた。

 

「お染ちゃん、お棺に閉じこめられているのですか」
初めて聞く話に、娘は驚いて秋子を見つめた。
すっかり夜になっていた。向こうに見える高速道路を走り去る車の光軸が、時折、墓地の上を灯台の光のように流れ去って行った。

 

「あら、知らなかったの」
秋子は口の滑ったのを悟った。
「はい。知りませんでした」
と呟いた。
「それで掘っていたの」
「はい」
娘の声は悲しそうに沈んでいた。

 

 

「だって、それしか考えられないじゃないの」
「そうですね……でも、どうして、お棺に入ったのかしら」
「あなたがこっそり入れたんでしょう」
秋子の意地悪そうな笑いに、娘は身を固くした。

 

 

「いいえ。そんなことはしません」
エンジンの音を遮るような声で、娘は言った。
「一人で入ったのかも知れないね」
「そうでしょう。それしか考えられませんから」
掘り上げられた砂が、目の前に量を増して行く様子を見つめながら、娘は力無く笑った。

 

 

里子と秋子

 

「私たちまだ、お互いの名前を知らないわね」
と作業の動作を一瞬止めて、秋子が言った。
「すみません。里子と言います」
慌てて娘が声をあげた。

「私、秋子。これからもよろしくね」

 

「こちらこそ」
「お染が通夜の時に、棺桶に入ったとしたら、もう半年も経っている。今頃、中から泣き声が聞こえる?そんなこと信じる」
砂をすくい上げるバケットの先端に向けていた顔を、里子へ向けてきた。里子は首を横に振った。

 

「空気がなくては生きられないし、食べ物がなくては飢え死にするだけ」
穴は次第に深くなってきた。そろそろ棺桶に到達するかも知れないと、里子は感じた。

「ここは大昔、海底だった所。見てごらん、砂、サラサラしているでしょう。砂の密度が荒いから、少しは空気の流れがあるのよ。墓石に沿って、隙間が出来ているのかも知れない。食料は死んだおじいちゃんの体内から溶け出した、エキスを舐めて」

 

「やめて下さい」
里子は耳を塞ぎたくなった。これ以上、秋子のそばにいるのが苦痛に感じられた。

 

「燃料を補給して下さい……燃料を補給して下さい」
ユンボが先ほどから警告メッセージを繰り返し、運転レバー横の小さな赤色灯を点滅させている。

「燃料が切れたみたい。もうちょっとでお棺に届くのに」
秋子はスイッチを切り、燃料用のポリタンクの置いてある場所に向かって歩き出した。
「私、取ってきます」
と里子は言ったが、

 

「いいわよ。あなたでは、どこに置いてあるか分からないから」
と秋子は、さっさっと墓石の影にかくれてしまった。

 

高速道路の向こう側の雲間に、満月に近い月が昇っていた。風が強いらしい。ちぎれ雲が次々に流れ去る。

黒い物体が、砂の底で動いたように思えた。
「お染ちゃん」

 

里子は急いで足場板を穴の上に差し渡し、そこから身を乗り出した。砂が動いた。よろよろっとした里子の身体が揺れた

「あっ!」
と里子は小さな声をあげた。

 

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