ブログ小説【愛しのメールアドレス第2話 伸太の病魔と死】

 

小説ブログの書き方実例編 【いとしのメールアドレス第2話 伸太の病魔と死】をよんで、自分ならこう書くとイメージしてみてください。

自分は1話2000字前後を目安にして、一編の短編小説を6話で終わるようにしています。

短編小説の書き方のノウハウはネットでもいろいろありますが、実際に自作を発表して実例にしていることはすくないようです。

第2話 長男伸太の病魔と死あらすじ

伸吉は念願のパソコンを手にいれることができた。
トモの許しを得てノートパソコンまで購入した。
これからという矢先に長男の伸太に病魔がおそった。
悪性腫瘍だと宣告された。

 

長男伸太の病魔と死

 

パソコン購入

 

伸吉は購入したパソコンを、庭先の作業小屋兼事務室に設置した。
現場で集めてきた残材作りの小さな事務室に、デスクトップのパソコンが入ると、冷え切っていた部屋の空気に温もりが感じられた。
西側のガラス窓を通して、冬の弱い日差しが、パソコンの上にスポットライトの様に当たっている。

 

「まったく……どうなってんだろうね」
購入したパソコンが机に置かれるとトモは先ず驚きの声を上げた。
何本ものケーブルを本体とキーボードやデースプレーに差し込んで行く伸吉の手元に、まるで手品を観る様にして顔を近づけて来た。

 

「これはプリンターにつなぐプラグだな」
本体のコネクターの位置とマニュアル冊子に記されている位置を確認しながら、伸吉は最後のケーブルの接続を終えた。
電源を入れると、ジイッ、ジイッと機械的な音がしばらくつづいて、初期設定の画面が次々に表れた。

 

トモは伸吉の操作する画面をのぞき込んで首をひねったり、感嘆の声を上げつづけた。

ローマ字で打ち込んだ文字が、瞬時にして日本語に変換される。
マウスでクリックするだけで次々に変化する画面に、
「あら。また。どうして」

トモはテレビのマジックショーを見ているときのような声をあげる。

「そのうちにお前にも使い方を教えてやるよ」
「出来るもんね、こんな厄介なもんが」
「簡単だ」
「私が覚えて、一体何に使う」

 

確かにトモには、パソコンは無用の長物か。
スーパーに夕食の買い物に出かけても、顔見知りを呼び止めて、井戸端会議を始めるのが好きな女だ。
伸吉がテレビのニュース番組を観ていて、ちょっと席を外すと別の娯楽番組に切りかえて顔をくずしている。

 

伸吉は夕食後の時間をほとんどを作業小屋兼事務室で過ごすようになった。
伸吉にとってパソコンの操作は、それほど難しいものではなかった。
一週間もすると図面も書きこめるようになった。

戸惑いを覚えたらすぐに手元のマニュアル冊子を開いた。

 

「もう寝たら」
母屋からやってきたトモが声をかけた。
壁の時計を見上げると午前零時をまわっていた。
トモが声をかけなければ、このまま壁際のソファで寝こむところだった。

 

このところ熱中する夜が増えている。
一ト月位前からインターネットの参考書などを読み漁っている。
近々ブロバイダーとの接続の構想を練っているのだ。

 

伸吉はパソコン導入に当たってトモから酒か煙草のどちらかを止めるようにと言われている。
「無茶を言うな」
「一つぐらい私の言う事も聞いてくれていいじゃない」
「ああそうか。じゃあ、いっそ両方とも絶つか」
言ってしまった以上、実行するより他はなかった。

仕事や私生活で二四時間トモに監視されていては裏でこっそり楽しむ事は出来ない。

 

煙草の禁断症状の期間は苦しかった。
パソコンに熱中する事でやっと紛らわせていた。
それを口実にこの春、現場用としてノートパソコンまで入手する事が出来た。

 

暗転

 

トモが伸太の右肩に梅干しほどのコブを見つけたのは、伸太が小学四年の冬休みに入って
間もなくの時だった。
「どうしたの、このコブ」
トモは伸太が前日の遊びの中で作ったのだろうと思って軽い気持ちだった。

「知らん」
伸太は二段ベットの上部で布団を頭からかぶり直した。

「起きんね。七時半に友達と待ち合わせの約束をしているんだろう」
「うん」

伸太は何度かぐずっりながら降りてきた。
「お父さん、ほれ」

 

トモは食卓にやってきた伸太のシャツの肩を広げて見せた。
肩の付け根が脇にまわり込んで少しくぼんだ辺りが、ぽっくりと盛りあがっていた。

 

「病院につれて行って見ろよ」
伸吉は新聞から顔を上げ、そう言った。
成長期の子供特有のほんのちょっとした異変だと軽く考えた。

 

「いやだよ。友達と約束がある」
「病院が終わったらお母さんが送って行ってやるから。友達に電話しなさい」
「だって……」
「行くんだ。病院に」
伸吉の強い声に伸太はしぶしぶ承知した。

「お父さん、すぐ病院に来て!」
受話器の中からトモの悲鳴のような声が聞こえてきたのは、午前九時になったばかりの時だった。
伸吉は市内にあるハウスメーカーの事務所で、明日から工事に取りかかる住宅の打ち合わせを始めたところだった。

「すぐ行く」
「どうしたんですか」
伸吉の一変した顔の表情に、対面して座っていた工事担当の若者は驚いて立ちあがった。

 

悪性腫瘍と死

 

伸太は一週間後、悪性腫瘍と診断された。
成長期の病巣の進行は早い。
あと半年の寿命だろうと診察した医師から宣告された。

 

伸太が病魔と六年間格闘を続け、息を引き取ったのは、中学三年生の夏休みも終わりに
近い八月末だった。

ブログ小説【愛しのメールアドレス第1話 パソコンと夫婦】
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